『FFSのS(Stress)を活用した離職防止マネジメント』座談会を開催しました


日時:2月4日(金) 19時~20時30分
実施方法:オンライン
プログラム:
1.FFS理論とストレスに関する説明
2.離職防止の活用事例  
3.質疑応答含めた座談会
参加対象者:
FFS活用を検討している企業の方

予防人事の実践について、具体事例をご紹介

「自分自身の個性は、トライアル受検してレポートを確認できた。確かに、結果はわかりやすいでも、これを組織的に活用するイメージがつかない」

というのが、FFS理論の導入を検討する初期段階でよくうかがう感想です。

今回の座談会は、これからFFS導入を検討される組織の方向けに、実務経験者のかたをゲストにお招きし、具体的にどのように運用されてきたのかを事例紹介を交えながらお聞きしました。お話いただいたのは、中堅住宅リフォーム会社で進めてこられた「ストレス診断データを活用して離職防止を実現」について。すなわち予防人事の実践です。

事例では、次の順で実践を紹介してもらいました。

1.社内の運用について

  • 全社員に対して2カ月に1回のストレス診断を実施。
  • 診断結果をマネージャー会議で報告し共有。
  • ディストレス状態の社員は、本人と直属の上司へフィードバック。

運用を続けた中で見えてきたこと

  • 退職とディストレスの関係、退職と因子の関係。
  • ストレスマネジメントの実務とは基礎データの把握、推移の計測。

お話を伺うなかで興味深かったのは、退職者のストレス推移を可視化して退職とディストレスの関係を分析していたことです。たとえば次のような方がいたそうです。

  • 入社1年目の社員:4月〜11月までは、ストレス値に異常はありませんでしたが、1月にハイパーストレスの兆候が生じる。そのまま翌2月に退職願を提出。
  • 15年目以上勤務の社員:周りからは「あの人ずっとこの会社にいるだろう」と思われていた人が、あるとき転職により退社。その前の状況を見ると、アンダーストレス状態がしばらく続いていたそうです。

個別の因子を見ながらきめ細かいフォローを進めた取り組み

また、退職と因子の関係についても、次のような事象があったと言います。

  • 入社1年目社員:保全性の高い社員が、同じく保全性の高い上司のもとで働いていた間は特に兆候はありませんでしたが、上司が拡散性の高い人に替わったあとに退職してしまったそうです

個性発揮できるかどうかが退職傾向に影響すると思った人事担当者は、その後、ストレス値と個性因子を軸にした緻密な1on1を実施することにしました。また管理職層に対して、同じ個性因子の部下の方が少ないことを理解しましょうと、はっきり伝えています。

このようにきめ細かいフォローや説明に力を入れることで、入社1年目の社員が1年目で離職する率は、25%からほぼ0%へと改善しました。

こんな質問のやり取りがありました

事例発表のあとの質疑では、

「2カ月に1回の診断実施は、正直事務局側が大変なんじゃないの?」
「各部署にフィードバックするのは、聞いてくれるものなの?」
と素朴な疑問の声があがりました。これに対して

「診断実施後のストレス値確認は、システムを活用できるので大丈夫なんです」
「当社の場合は、事業部長が新しいことに前向きになってくれる人だったので、他の人もポジティブに受け止めて活用してくれました」

との回答でした。

さらに最初に理解・納得・共感を得るためには、「社内でも拡散性が高い、声の大きい人を仲間に入れていく」のが有効だという話も伺いました。

組織デザイン観点からの活用イメージづくり

もう1つ座談会での話で話が盛り上がったのは、組織分析の観点です。FFS理論は最適組織づくりに使うことができ、それをレポート形式でお渡しすることが可能です。具体的なサンプルを見てイメージを深めて頂いた方からは、次のような感想をお話いただきました。

当社は開発者が多いので、可視化して示されるとみんな興味を持ちやすいだろうな

HRBP的な動きを期待されてきているが、何から着手したらよいかイメージがつかないなか、組織分析のレポートがあると、手掛かりを持って各部門に関わっていきやすいだろう

組織編成図を部門長に見せると、きっと何か言ってくるだろう。それ自体が、組織デザインについて考え始めたサインと見ることができる

また、FFSの話を聞いて自組織を見返してみると、個性因子の偏りがあることに気づいたというかたもいらっしゃいました。たとえば事業によって特性があります。この場合「人のために何か貢献したい」すなわち受容性の高い人がほとんどを占める組織特性です。

一方で上層部に凝縮性の高い人がいると、その意見に追従しがちな傾向があるそうです。こうしたときにも、組織分析レポートを作成すると、具体数字で偏りやギャップの大きさを出せるのがFFS理論の特徴です。ギャップの大きさは双方のストレス増にもつながりかねませんので、きちんと把握してコミュニケーションギャップを埋めていくような工夫も可能です。

今後の予定

少人数の座談会ゆえに、各社がどういう課題を持ち、FFSの活用を検討されることになったのか、じっくりと話していく時間にすることができました。「ストレスと離職防止」は、どの組織にも共通するテーマです。1つの事例をきっかけに、各社の課題や関心を話し合えるのがこの座談会。また次回も企画中ですので、決まり次第ご案内させていただきます。(FFS受検を受けていることが前提のため、招待制となっております)