自己理解が必要な3つの理由


自己理解」していますか?仕事を選ぶときもキャリアを考えるときも、自己理解をしていることは大きな強みです。必ずしも自分に合う仕事を見つけるためではありません。体験してみてはじめて気づくことも多いもの。自分を知り、成長を促すことが大切です。

自己理解がないと、うまくいった時もうまくいかなかったときも理由がわからず、応用力がうまれません。自己理解がなぜ大事なのか、改めて考えていきましょう。

そもそも自己理解がなぜ大事なのか

今まで、あなた自身の特性について、誰かからコメントをもらったご経験はありますか?

「○○さんって慎重だよね」「○○さんって思い切りがいいよね」

もしかしたら、このように一見反するようなコメントを両方もらったことがあるかもしれません。これはどちらかが違うのではなく、きっと両方ともあなたのなかにある個性です。

大事なのは、自分で自分を理解しているかどうか。実は同じ個性でも、置かれているストレス状況によって発揮が変わることがあります。

たとえば「慎重な人」は着実に確認しながら進める安定感がありますが、場合によったら「そんな曖昧な状況では進めない」と消極的な意見ばかり述べる人、として見られるかもしれません。

自分はもともと「慎重さが強いタイプだ」と認識していれば、「きちんと慎重さの根拠を言わないと、ただ否定する人とだけ思われてしまう」と自己の言動をコントロールできるようになります。

しかし自身が慎重であるという特性を理解していないと「歩調が合わなかったけれど、みんなの方がおかしい」と自分都合で解釈をしてしまったり、「自分のように丁寧に進めるべきだ」と自分の考えを押しつけてしまったりする可能性もあります。

的確に自己理解ができているかどうかは、建設的に仕事を進めるうえでも、コミュニケーションのとりやすさにも大きく影響してきます。

自己理解を深めることのメリットは何か

自己理解をすることがなぜ仕事やコミュニケーションに役立つのでしょうか。3つの観点から考えてみましょう。

1.人との関わり方にプラスに働く

仕事をしていると、多かれ少なかれ人との関わりが生じます。人はそれぞれ個性が異なりますので「どうしてそんな反応になるんだろう」「思ったのとは違う動きをされて驚いた」という場面に出会うこともあるのではないでしょうか。

こうした時、「自分の個性とどうズレがあるか」を理解していれば、相手の反応で右往左往することは減らせます。

たとえば自身が合理的思考の強いタイプだとわかっていれば、他の人よりこだわっている自分がいる、と自己認識できます。すると「自分からすれば、この資料のあいまいな説明はあり得ない」と思いつつも「あの人は感性で動くからな……。せめてこのページだけ書き直してもらおう」と建設的に考えられるようになります。

でももし自身の個性に気づいていないと「自分からすれば、この資料はあり得ない。何度言っても変わらないのはどうしたらよいか……」と自分のストレス値が高まったり、「この資料はあり得ない!」と相手に対して過度に攻撃的になったりするかもしれません。結果、人間関係にもネガティブな影響が出てきてしまいます。

2.自分に向いた方法を選択しやすくなる

個性の違いは、学びかた、仕事の進めかた、判断の仕方などの違いを生み出します。たとえば学びかたも、個性によって適する方法が異なります。

たとえば学生時代の勉強を振り返ってみると、計画立てて着々とやる人もいれば、演習や実験で高い吸収力を発揮する人もいたのではないでしょうか。

これは、積み上げ型で物事を進めたい個性の人と、まず動く・体験することを得意とする個性の人の違いと連動しています。(こちらの書籍に詳しく:ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型

自分がどちらのタイプかわかっていれば、自分に合った勉強方法を選択することができます。たとえば積み上げ型で思考する個性だとわかっていれば、演習ばかりの授業でとまどいを覚えたとしても、「関連する理論の本を読んで自分なりに整理しよう」と自身の得意パターンに持ち込むことで学習速度をあげられます。

自身の個性がわかっていないと、「この演習タイプの授業は自分には合わない」と思い、せっかくの機会を生かせなくなってしまいます。

3.セルフコントロールと建設的段取りができる

前述した「慎重さ」という個性。ストレス状況によって裏腹な映りかたをすることについて、もう少し考えてみましょう。

「慎重さ」が好ましいと周りから捉えられているのは、「きちんと確認するから安心できる」「余裕のあるスケジュールをたてるような着実さがある」「ダブルチェックしてくれて助かった」というような場合でしょう。これは本人が個性を活かしている状況です。

一方で「慎重さ」は「新しいことには否定的で困る」「過度に確認される」「やたらと細かい」などと見られることもあります。良し悪しはさておき、こう捉えられることがあるということです。そもそも自身が「慎重さ」という個性があると認識していないと「こう見えているかもしれない」「この部分で貢献している」と冷静な状況判断もできなくなってしまいます。

逆に自己理解ができていると、「新しいことに否定的なわけではなく、根拠があれば判断できるわけで……先に議論するためのファクトを集めておこう」と考えたり、「自分は細かく確認したくなってしまうたちだけれど、メンバーと会議体の持ち方を議論しよう」という段取りを組めるようになります。

「自分は細かいことが気になるから…」と口にしてもよいでしょう。むしろそうした発言は、建設的な意見交換を促すはずです。

自己理解を進めるためには

FFS理論は、自己理解を進めるときの大きな手掛かりになります。

FFS理論は「凝縮性/受容性/弁別性/拡散性/保全性」という5つの因子を使って、人の個性を示します。どの因子を強く持っているかは、人それぞれ違います。強い因子がどれかに着目して、個性を言語化/定量化できるものです。

またどの因子にもポジティブ面とネガティブ面があります。たとえば「正義感が強い」ということは、行き過ぎると「正義をふりかざす独善性となる」ように、ポジティブとネガティブは裏腹な関係性にあります。5つの因子それぞれについて、概要を以下に記しました。

凝縮性因子ポジティブの時には正義感や使命感が強く出ますが、ネガティブになると独善的で排他的、固執的になることがあります。
受容性因子ポジティブの時には他の人への共感や肯定が強く、人をサポートする動きをとりますが、ネガティブになると自虐的になったり、やたらと介入してきたりしがちです。
弁別性因子ポジティブの時には理性的で合理的に動きますが、ネガティブになると機械的になったり詭弁的に動いたりすることがあります。
拡散性因子ポジティブの時には自ら積極的に動き、創造的な強みを発揮しますが、ネガティブになると衝動的、攻撃的、反抗的になりがちです。
保全性因子ポジティブの時には協調的で几帳面、持久的な行動をしますが、ネガティブになると消極的で従属的、時に拒絶的になることもあります。

自分はどの因子が強い個性なのか。その因子は場面ごとにどのように映るのかを把握することが、自己理解への大きな一歩です。FFS理論の場合は診断設問に答えることで自身の因子理解をすることができます。

まとめ

自分の気持ちは自分にしかわかりませんが、なぜその気持ちになったのか。自分の言動は周りにどんな影響を与えているのかまで説明できるかどうか。これは、自己理解が進んでいることのバロメーターの1つです。

FFS理論は5つの因子を使って自分の言動=反応を把握ができるシンプルさが便利な点です。もちろん他にも自己理解を深めるツールはあります。自分に合うものを使いつつ自己理解を深め、自分が「楽になる」「動きやすくなる」ために使ってください。