株式会社ワークスエンターテイメントでは、7月よりFFS理論を活用した個人向けの「パーソネル・キャリアトレーニング」を開始します。なぜ今このサービスを始めたのか、代表の前田のインタビューをお届けします。
強みを発揮して社会で活躍できる人を、たくさん輩出したい
パーソネル・キャリアトレーニングをこのタイミングで始めるのは、どうしてでしょうか?
1つのきっかけはコロナ禍ですね。そもそも働き方改革だったりDXだったりと変化は進んでいて、それがコロナで加速したわけです。今後も戻りはしないでしょう。一方でオンラインになって、「社員の本音が見えない」「何を考えているかわからない」という経営者や人事の声もよく聞きます。この2つを合わせた時に、これからの時代こそ、個に向き合う重要性がますます高まると思ってきたんです。
個、つまり一人ひとりを見るということですね
はい。そこで自分たちができることは何だろう?と考えて、原点に戻りました。企業理念に「それぞれがそれぞれに合った最適な環境の創造」を掲げているのですが、まさにそれをおこなっていきたいと。強みを発揮して社会で活躍できる人をたくさん輩出したいというのが、この理念の背景なんです。
当社ではこれまで企業向けに事業を展開してきましたが、さまざまな悩みを持つ個人の方々にも直接向き合いたい。もともと人材サービスに携わってきたこともあり、個人と誠心誠意向き合って継続的に満足度を高めていただくというのは、我々の中核的な活動だと思っています。
「パーソネル・キャリアトレーニング」とは、具体的にはどういった内容なのでしょうか
まずは我々のコアであるFFS理論がベースです。それで個々人の強みにフォーカスします。サービスとしてはセルフマネジメント力をつけていくための伴走なのですが、そもそも自己理解ができていないと、自分に合わない行動スタイルでがんばってしまったりしがちで……。
そうではなく、強みを生かした行動こそ、活躍の源なんです。そこから毎週のやり取りを通じて、意識や行動の変化をつくりだしていきます。
「パーソネル」という言葉には、どういう意味が込められているのでしょう
ヒューマンロジック研究所の古野さんから教えていただいたのですが、「パーソナル」の「個」という意味に対して「パーソネル」には「組織に属する個」という意味合いが含まれています。
基本的にどういう働き方をしても、人は人との関係性の中で成長することが一番大きい。関係性を含めた個を支援していくことをあらわしたくて「パーソネル」を使うことにしました。
関係性を客観的にアセスメントするだけではなく、踏み込んで扱っていく感じですね
確かに、感覚としては「統合」だと思います。求めていることは人それぞれなんですね。だから、「個の強みを見る」「関係性を見る」とわけて考えるのではなく、その人に関わることを全部「統合」して扱っていきます。変化や進化を含めて付き合っていくという意味も込めて。
本当の強みに気づいた瞬間に、どの人もガラッと変わる
伴走するときのポイントはあるのでしょうか
やっぱりキーワードは「強み」です。自分で自分の強みに気づいた瞬間に、どの人もガラッと変わります。その手応えが得られたら、あとは定点観測のような形で気づきを深めていけるようになりますよ。
「強み」は誰でも気づけるんですか
FFS理論では数字で個性が示されるので、インパクトが大きい(笑)。具体的には、FFS理論が示している「気質・性格・人格」という観点が参考になります。
先天的な個性である気質と、後天的に身についていく性格、そして社会の中で形成されていく人格。自己理解のためにはそれぞれ把握する必要がありますが、特に人格の部分について、中学・高校・大学の過ごし方を紐解くと、非常に理解が進みます。
今の行動は、その時の原体験を上書きしているわけなので。それが見えてくると、皆さんものすごく納得されますね。やっぱり自分はこうなんだな、と自己肯定できる。
なるほど
そうなると、今までやってきたことにムダがないことを立証できるし、今の仕事スタイルについても腑に落ちてきます。たとえば先日面談した方は、上司からの期待と自分のペースがかみ合わない様子だったんです。営業成績は出しているけれど、突き抜ける感じではない。
でも、野球部でキャッチャーをしていたといった話を聞いていくと、全員から信頼される着実さが強みなんですね。このスタイルでいいんだと自己肯定できると、行動に自信が出てきます。強みを顕在化し、上司の方にも理解してもらったことで、随分動きやすくなったと思います。
キャリアカウンセラーのような伴走とはまた違う感じですね
強みを把握し、発露する・磨くためのアクションプランをお手伝いする役割だと思っています。広い意味でのキャリア支援ではあるけれど、転職のタイミングには限らなくて。
職場内での活躍、転職前の自己整理、あるいは起業や副業に向けた準備の一環など、あらゆる場面に使っていただけるサービスです。セルフマネジメント支援ということで、サポートする人をスーパーバイザーと呼ぶことにしました。
いろいろなタイミングで使えるサービスですね
強みの発露は、仕事人生の終わりまでずっと続くものですからね。もちろん、生涯お付き合いしていくのが最大限の関わりなのですが、サービスとしてはそこまで重たくない(笑)。
いったんの目安は6ヶ月です。これまでの実践例から6ヶ月関わらせていただくと、その後ご自身でセルフマネジメントできる状態に仕上がると実感しています。
6ヶ月経つと、自分の個性を使いこなせるようになる
6ヶ月の間にどんな変化が起こるのでしょう
最初は理解・納得を深める期間です。強み・弱みを客観的に理解するようなセッションをおこないますので、弁別性の高い方はそこで納得が高まるようです。
また拡散性の高い方は、週次のアクションをすぐはじめて、行動しながら理解を深めることが多いですね。一方で保全性の高い方は、徐々に理解を進めて…… 3カ月目くらいからアウトプットが変化しますね。だいたい半年で、本人の「型」ができてきます。
自分なりの内省の仕方がわかってくると、視野が明らかに広がるんです。たとえばネガティブな発言がなくなる。それだけではなくて、他の人が使うと「その言葉を使うのやめましょうよ」と言う。これは大きな効果ですよね。
本人が「型」をつかむと、ぐっと変化するのでしょうね
セッションの中では、「いい刺激」と「悪い刺激」をわけることも伝えています。その人の個性に何がストレスをもたらすか。根拠もお伝えしていくと、だんだん自分自身でも判別できるようになって、それが行動変容をもたらすんです。
たとえば大企業で勤めつつ、今後のキャリアを迷っていたかたがいます。転職しようか起業しようか……と。MBA取得にも動かれていました。その時に、本質的な強みを自己認識できれば、内省しながら選択肢を整理していける。そこで区切り、次また迷った時に来てくださいね、と。基本スキームはこうした流れです。
自分の個性を使いこなせる感覚でしょうか?
そう。自己肯定感が出ると、使いこなせるようになるんです。仕事に対するスタンスも、行動力も、コミュニケーションも変わる。職場内の「心理的安全性」が大事だとよく言われますが、そこに効くのも自己肯定感の高さなんですよね。自分の個性がわかれば、相手の個性も推察できるようになってきます。互いに開示し合うことで信頼が生まれますよね。
転職する時にも影響するんでしょうね
退職理由が明確でない人ほど、転職では結構苦戦すると思います。本当はわかっていると思うんですよ。実は人間関係が背後にあることが大半。でも、辞める理由として自己認識できていない。
その状況だと、自己肯定感が低いまま転職活動に入ることになりがちです。すると、どこかにネガティブ発言が見え隠れしてしまう。転職がなかなか決まらない人ほど、改めて自己理解を深めていただくのがよいと思っています。
決まらなくて焦っている場合は、なかなかそこまで思い至らないかもしれませんが…
我々も今から取り組んでいく話なのですが、人材紹介会社と提携して、トレーニングを受けた場合の効果を数値化していく予定です。それと成功事例ですね。SNSで発信するとともに、コミュニティをつくり始めています。すでに「本郷横丁」というオンラインコミュニティを立ち上げていまして、これまで関わったかたがたが参加してくれています。
人との関係性を扱える力を高めていく
特にどういう方々が、このサービス活用に向いているのでしょうか
どの方々でももちろん対応していますが、主に4つの層を想定しています。1つめは、新入社員から2〜3年目あたりの若手。いち早く自分の強みに気づくことで、活躍度があがる方々です。
2つめは管理職一歩手前。年代は30代前後でしょうか。人との関係性構築がぐっと変わるきっかけになります。そして3つめは30代後半から40代あたりの方々。管理職路線でいくのか、専門職路線にいくのか、岐路にたつことが多い時期です。
転職を考える人もいますが、それこそ自分の強みが認識できているか、が結果を左右します。そして4つめは、起業予備軍の方。チームのつくり方、ボードメンバーの関係性設計などは、組織力をものすごく左右するんですよね。そこは、自分の経験も含めてサポートできるといいなと思っています。
人との関係性の扱い方が、活躍を左右するようなステージとも言えますね
そうですね。仮に1人で起業したとしても、クライアントとか、ビジネスパートナーとか、必ずどこかに人との関係性が生じます。スキルというより、人との関係性についての「リテラシー」かもしれません。
関係性を扱える力を高めておくほうが、何かと「得」という感じでしょうか
はい。最近「マネジメントキャリア」という言葉を使っていますが、そこには人と人との関係性とか、働き方、エンゲージメントといったことも含んでいます。それを顕在化できるのが重要なんですよね。
たとえば、「自分の弱いところはこうやって事務メンバーにサポートしてもらいました」と言えたら、傾聴できるんだな、コミュニケーションがはかれるんだな、リーダーシップをこのようにとるんだなという情報が伝わってくる。成功体験の根拠を語れるのも、リテラシーそのものです。
時にはメンタル的な悩みを抱える人もいるかもしれませんが……
最近よく使われる「ウェルビーイング」を突き詰めて考えていくと、強みを理解して働くことが一番幸せになる確率が高いと思うんです。自分に向き合う力を高めると、社会とのアクセスポイントをつくる力も高まっていく。
今のコロナ禍もそうですが、外的環境の変化を受け入れるのはすごく大事な力です。その基礎体力のような部分は、自己理解・他者理解・関係性理解から高まっていくと思っています。
いろいろなキャリアの岐路で迷う人もいると思いますが、そのような時にこのトレーニングはどういう効果を持つのでしょうか
ドラゴン桜とFFS理論について古野さんが書かれた書籍、『ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型』で言っていることそのものなんですよね。このメッセージは、強みにあった学び型を知ることが大きな価値を持つということ。
まさに、自分の強みを理解した瞬間にベクトルが明確に見えてくるんです。その人にあった学び型を具体化し、自信を持ってキャリアを歩めるようお手伝いしていきます。
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