行動変化は、正しい思考からはじまる


 

事実」と「気づき」をきちんと言えるようになりませんか。目標達成支援をする「パーソネル・キャリアトレーニング」をはじめて約2カ月経ちました。毎週1回、その人が直面する「事実」と「気づき」を書いてもらうことからはじめ、思考の習慣化を応援するものです。

やりながら気づいたのは、「事実」をきちんと表現できる人ほど、成長・変化のスピードが早いということ。「事実表現なんて簡単でしょ」と思うかも知れませんが、意外と苦戦してしまうのはなぜなのか。今回はこのあたりを深く考えてみます。

「事実」を伝えたつもりが、感情まで混じって表現していない?

「今週最も印象的だった出来事について、事実気づきをそれぞれ一文で書いてください」というのが、このトレーニングでお願いしていることの1つ。しかしここで、「事実を書く」ことが意外にできていないケースが見られます。

たとえば「顧客A社への提案は、今日の反応だとむずかしそうだ」という文章はどうでしょうか。事実以外が混ざってしまっています。「A社へ提案したこと」「相手が反応したこと」は確かに事実ですが、「むずかしそうだ」と思っているのは報告者本人です。

相手がその場で即答しなかったので「むずかしそうだ」と言ったのでしょう。しかしそこには本人の感情が入ってしまっています。こうした時はまず事実だけを表現しないと、脳にインプットする情報自体がねじ曲がってしまいます。

たとえば先ほどの例では、「検討します」と相手が言っただけなのに、「提案が通るのはむずかしい」と置きかえて記憶される可能性があります。ねじ曲がった事実に基づくと、行動も変わり、期待した結果にならなくなってしまいます。そうではなくて、「実際に何を言われたか」でまずは認識する。それが「事実を書く」ときに留意したい点です。

また「事実を書く」ときにシチュエーションを説明してしまうケースもあります。「今日は朝から雨が降っていて、気が滅入った」という説明は、事実のようで事実ではありません事実であれば、「今日は朝から雨が降っていた」だけでよいわけです。

シチュエーションを描写しようとすると、そこに「気が滅入った」といった主観が混ざってきます。もちろんその時に思ったことは事実ですが、「事実を伝えてください」と言われたときには一度立ち止まりましょう。

「自分の表現に感想は交じっていないだろうか」、「事実として雨は降っているけれど、『朝から』なの?」等々。そして頭の中で文章を再確認します。

「事実」と「気づき」思考で、出来事の因果を識別

事実」とセットで書いてもらう「気づき」。これも書けるまでに時間がかかるかたがいます。「気づき」ではなく「感想」を書いてしまうのです。

「雨が降っていて嫌だった」「傘を忘れて困った」……。これらはすべて「感想」です。「気づき」というのはその先にある「発見」や「!!!」と浮かぶひらめき。あるいは「原理原則」のことです。因果律で例えると、事実は結果で、その原因が気づきです。気づきを得るには「それでどうなのか」と自身の中で問いかける必要があります。

無論、最初から「気づき」がすぐ書けなくても問題ありません。これは思考ですから、何度も問い直し続けるなどをおこなうことで、磨いていくことができます。実際、トレーニングを受けていただき、週1回のペースでやり続けていただくと、2ヶ月から3ヶ月くらいでだんだんできるようになっていきます。

実はこうやって一度考える習慣づけが、重要なのです。「事実」と「気づき」をきちんと述べられるようになるとは、『結果と原因の関係、すなわち因果が見いだせるようになる』ことです。因果がわかると、結果に向けた行動がわかってきます。

逆に、因果を整理・認識できない人は、「結局何を言っているのかわからない」「なんでそういう発言になるのかイラつく」などと、職場の周囲とかみ合わないことが起こります。

しかし「どうしてそうなるの?」と問いかけるのは、得策ではありません。本人自身が思考整理できていないと、言われても腑に落ちないだけ。「急がば回れ」と言いますが、正しい思考を磨いていくことで、結果的に行動が変わるという道も知っておきたいものです。

できるだけ肯定型・短文型の思考を

もう2点、思考の習慣化で意識したい点があります。

  1. 否定語を使わないこと
  2. 短文で表していくことです。

否定語はどうしても、後ろ向きのエネルギーを起こしがちです。リモートワークでメールやチャットのコミュニケーションが増える中、もし社内がギスギスしていたら要注意。ご自身の返答も、気づかないうちに冷たく聞こえているかもしれません。リモートワークになるほど、テキストコミュニケーション力はますます必要性を増しています。

その際、表現はできるだけ短文にしたいところです。『短文の方が脳に記憶されやすいし、より重要な点が絞り込まれてインプット』されます。「そもそも何を書こうか」と出来事をピックアップするまでの過程で内省も進みます。

職場での日常会話でも、1つ1つ短文でというのは意識すると良いでしょう。「この情報は相手にとって重要だろうか」「これを言えば事実が抜け漏れなく伝わるだろうか」と、常に頭の中で考えながら話すのです。それをするかしないかで、伝わりやすさも大きく違ってきます。

自身の特性理解と思考力アップで行動の質を変える

1つ、思考変化によって業務課題を乗り越えようとされている例をご紹介します。

ある現場スタッフの方がいました。業務上、別部門の専門職から指示をうける立場で仕事をしているのですが、突発的な仕事や乱暴な指示も多く、振り回され気味になるそうです。性格的にも自分から主張をあまりしないため、言われるがまま、反応もできずに固まってしまう自分にコンプレックスを抱いていました。

そのかたが「パーソネル・キャリアトレーニング」を始めたとき、最初は、「急な依頼に対応できなかった」など、ネガティブな表現が多く使われていました。事実が整理されていないだけでなく、自己否定も入ってしまっています。

しかし毎週続けていくなかで、徐々に変化が出てきました。先ほどの表現は、事実としては「急な依頼があった」だけにする。「対応できなかった」ではなく、そのあと何を考えたかを一度思考する。それを繰返すと、たとえば「日々メモをとる」「職場が勉強機会」といったように、気づきが言語化されてきました。

このかたの場合、自身の特性理解が進んだことも、気づきを言語化しやすくなった要因でした。たとえば「指示にすぐ反応できない」というコンプレックスは「自身は相手によかれと思って言われたことを受け止めるという特性がある」と自己認識をすることで、受け止める行動自体を否定しなくてよいと思えるようになりました。

さらに、「自身は、突然の指示がくることがストレスを感じやすい」という認識もできるようになると、「突然の指示がくる」という環境を変えられないかという思考が働きます。行動視点が、職場環境改善へと広がるわけです。「事実」と「気づき」を的確に表せるようにスキルアップすることで、行動の質をぜひ変えていきたいものです。

スーパーバイザーはFFS理論による個性因子とストレスの関係性を理解しているため、このようなフィードバックやセッションが可能なのです。

思考の整理×パーソネル・キャリアトレーニングで目標達成を支援

通常のパーソネル・キャリアトレーニングでも充分、思考行動をサポートいたしますが、今回さらに強力なプログラムを用意いたしました。

  1. FFS理論による自己理解(フィードバック付き)※初月
  2. 思考整理秘書による「アナタの思考の図解化」セッション※毎月
  3. 週1回のメールトレーニング(事実と気づき)
  4. 月1回のオンラインセッション

要はFFS理論による自己理解をもとに、月2回オンラインセッションをおこない、毎週メールトレーニングを提供いたします。とくに思考整理秘書による「アナタの思考の図解化」は、セッションでお話しいただく内容を、その場で図解化いたします。

  • やりたいこと、やらなければならないことが多すぎて、整理できていない
  • 脳の疲れを感じるほど、タスクがおおい
  • 考えていることをうまく言語化できない(時間がない)
  • 話をすることで、思考の整理をおこないたい

と考えているかたには、とても向いているプログラムです。もちろん弊社でも体験済みですが、話をしているだけで、言語化された図解がでてくるのはとても驚きでした。

あなたの思考の整理をすることで、生産性が飛躍的にあがります。ぜひご活用してみてください。