「いいメンバーを集めたはずなのに、チームがイマイチ活性化しない……」。こころあたりがある経営者、人事部のかたに是非お読みいただきたいです。そう、そうなんです。チーム力を発揮させるには、個々人の力だけではなく、いろんな要素が影響しています。
場合によっては、お互い力を打ち消しあってしまうチームもなくはありません。チームとして相乗効果を出していくにはどうすべきか。その取組みは「チームビルディング」と呼ばれるもの。
FFS理論による個性因子の分析が終わったら、つぎにチーム力を分析することを考えてみませんか?
FFS理論ですすめるチームビルディング
FFS理論を活用したチームビルディングのステップを整理します。当社では概ね次のようなステップでFFS理論の社内導入をご支援いたしております。
- 個性因子の診断
- フィードバックでストレスと個性因子の関係性把握
- 全体報告会兼体験会(因子別のディスカッション特長を掴みます)
- チーム分析と報告会
- 個にフォーカスしたマインド・トレーニング
- チームビルディング
リンク先がないコンテンツは今後公開を予定していますが、この記事では「4.チーム分析」をご案内させてください。この分析の先に「チームビルディング」があります。
組織メンバーの関係性、把握できていますか?
たとえば野球やサッカーチームをイメージしてみてください。「4番バッター」や「ストライカー」だけを並べたら勝つわけではありません。どんな戦略で戦うために、どんなチーム編成が最適なのか。各ポジションに適した人を集め、実戦で試しながら、メンバーが決まっていきます。
チームが成果を出すためには、力ある個人が揃っているほどいいというのは確かです。ただし、相手によってメンバーを入れ替えたり、同じメンバーでも配置を組み替えたりすることもあるでしょう。1人ひとりの力が組み合わさり、チームプレーで結果を変えることができるのがチーム競技の醍醐味。そのためには、お互いの力が最大限引き出される組み合わせが重要になってきます。
会社組織でも、メンバーそれぞれの力が組み合わさることで、より高い成果を出せるようにしたいと思うリーダーは多いことでしょう。文字どおり力を「合わせ」て、ですね。
では、どうすればそれを実現できるのか。「特定の人に業務の偏りが出てしまっている」という実務的な悩みから、「チーム内が何だかギスギスして、活発な意見が出てこない」とチーム運営上の悩みまで、やり方が見えずに困っている様子も耳にします。
関係性を見える化しませんか
多様な人の力を生かすチームづくりがイメージできないのは、チームの現状を見える化できていないからです。
チームを考えるうえで最初に欲しいのは、1人ひとりの個性を見える化すること。マネジメント上も、日常のコミュニケーションにおいても効果が高まると、これまでの記事でもご紹介してきました。そのために有効なのがFFS理論の活用です。
今回はさらに一歩踏み込んで、関係性の見える化についてご案内いたします。
FFS理論は、各々の個性だけではなくチームの関係性も分析して表すことができます。関係性の分析というのは、補完関係が生まれる関係かどうかを示すこと。つまり、それぞれの強みを生かして相乗効果を出していけるかどうかについて示すもので、仲の良さではありません。
この関係性を分析できるのが、FFS理論の最大の特長であり、そもそもの出発点です。
チームの数だけ多様な特色がある
関係性を捉える前に、チームの「特徴」について目を向けてみましょう。たとえば「積極派」ばかりで構成されたチームと、「慎重派」ばかりで構成されたチームとは、ずいぶん色が違います。
「イベントを企画する」という同じテーマで会議したとしても、前者は「とりあえず会場を押さえようか」「おもしろいゲストを出しあおう」などと行動的な発言が多くなります。
いっぽう後者は、「まず部長に予算を確認しないと」「他の年はどうだったか調べよう」という発言が増えがちです。
チームを構成するメンバーはどういう個性のひとが多いのか。どんな思考の傾向があるチームなのかを把握しておくことは、マネジメントをうまく進めるためにも重要なことです。
ただし全体傾向だけで語ると、個々人の強みを生かせなかったり、見逃したりしてしまいます。そこで注目したいのが「関係性」なのです。
たとえば「積極派」が大勢の中に「慎重派」が1人混ざっていたり、「積極派」の中にもこだわりどころの違いがあったり、どのチームも一様ではありません。少数派の人が個性発揮しきれず埋もれていないか、主流派の意見が対立してしまい、全体でのまとまりが生まれずにいないか。
なんだかよく聞く話ですが、自分が所属しているチームを注意深くみてください。何かひずみの事象が起こっていることありませんか。メンバーが1人入れ替わるだけで、バランスが崩れてしまうこともよくある話です。その状態把握が、関係性の見える化です。
関係性の見える化にはFFS理論に基づく現状分析でレポーティングもおこなえます。個性因子を把握して、関係性を意識しながら普段の言動等に着目するだけでも、ある程度現状を推察し、未来を予測することができるでしょう。レポーティングはさらにクラスター分析によって心理距離をわかりやすく、かつテキスト情報で記述します。
関係性の見える(レポート)化は、どう活かすの?
チームの関係性が見えるようになってくると、「チーム力がうまく発揮されない」理由にも推測がつきます。FFS理論では、補完関係が十分に働けばチーム生産性が高まることが実証されています。(そのために開発された組織編成論です)
まずマネジャーのかたには、チームの一人ひとりの個性因子を理解をしたうえで、できるだけ補完関係しあえる状態にもっていくことを意識してもらいたいです。
メンバー個々人へ向き合うだけでなく、時には関係性のところに手を入れることが求められるかもしれません。そして関係性へ手を入れるといっても、大小さまざまな度合いがあります。大きく手を入れるならば、組織編成の組み替えをするレベルになるでしょう。
戦略にあわせて組織を再編成していく段階で、補完関係が生まれるようなチーム設計をおこなうものです。しかし現実的には、メンバー組み替えは自在にできません。
現メンバー構成のままでチームの生産性をあげ、より活性化する必要があります。そのために役割を組み替えたり、ふだんのコミュニケーションの齟齬を低めるなど、補完関係を高めるやり方はいくつもあります。
またマネジャー自身が自分のマネジメントスタイルを自覚することも必要でしょう。階層型で指示命令系統を固定化したようなマネジメントと、フラットな関係を中心とするマネジメントとでは、個々のメンバーも動きかたが変わります。全体のつなぎ役として誰かに過度な負荷がかかってしまっていないかというのも、気にしておきたいところです。
情報のオープン化と日々の観察
「目先の事業課題が多すぎて、チーム力のことまで手が回らないよ」とマネジャーのあなたは思うかもしれません。しかし実は、チーム力が発揮されるような組織にすれば、すべてをマネジャーが仕切らなくてもコトが進みやすくなるのです。
そもそも、目先のチーム課題をマネジャー1人で解決する必要はありません。チームの課題は、チーム全員の知恵を出しながら解決することもできるのです。
ただしそのために前提条件があります。それは情報の見える化・共有化。仕事でも、自分事にならないと身が入らないものですが、組織課題も同じです。
「コミュニケーションがしづらい状態にある」とか「こういう状況についてストレスを感じる」とか、個々人の思うことをオープンに出しあうことができれば、建設的な方向に意識が向いていくはずです。
チームビルディングは現状分析から
マネジャーにオススメしたいのは、いつもチーム状況を観察すること。個性や関係性を基礎データとして把握しながら、目の前の状況を分析的に見るクセをつけていくのです。
たとえば会議の場面で、発言していない人はどういう表情をしているか。改善が必要な場面において積極的になるのは誰か。関係性データと現状とのギャップも検討しながら、より大きな相乗効果を起こすために考えられる打ち手をとっていきたいものです。
この視点・視座を手にし、相互理解のもと目的・目標にむかって協力しあう関係性を築くことが「チームビルディング」です。チームビルディングを有効的にするために、FFS理論をもちいて、(1)個人の因子診断 をおこない(2)特定のチームの関係性分析 をおこない現状を把握します。
チームビルディングをはじめるということは、いわば組織開発であり、組織編成のリビルドです。すべては現状分析からはじめなければなりません。
まとめ
- 多様な人の力を生かすチームづくりは、関係性の見える化から
- チームメンバー同士が補完しあえる状況を目指す
- 情報のオープン化と日常の観察は、チーム力を高めるための重要なポイント
個人の因子を数値化し、ストレス(外的刺激)への生体反応を予測。さらに個性と個性の組み合わせが心理距離にどう影響を及ぼしているかを可視化。ついて組織編成に活用できるのがFFS理論最大の特長であり、「人材アセスメントツール」で終らない所以です。
チームビルディングをご検討されている、あるいはチームのまとまりがうまくいかないといった課題をお持ちでありませんか。個性因子の診断とチーム分析から、課題と強みを発見します。
ご関心いただけたらぜひお問い合わせください。