マネジメントの悩みには、個性(パーソナリティ)の違いが影響する


マネジメントに悩むマネジャーの多くは、自分のイメージとメンバーの行動との間にギャップを感じています。しかし人は1人ひとり違うので違いがあるのは当然のこと。ギャップを埋めようとするのではなくギャップが起きるポイントを知ることが、マネジメントをスムーズにするはずです。

自身の行動は、周囲から見ると「変数」

「メンバーに言っていることが伝わらない」「自分の思う通りには動いてくれない」と思っても、「どうせわかってくれないから仕方がない」と片付けていないでしょうか。

FFSを学ぶとわかってくるのですが、人の個性は1人ひとり違います。あなたが「当然こうでしょ」と思っていることも、他の人には「当然そうではない」ことがよくあります。

たとえば夏休みの宿題も、人によってやり方は違います。毎日計画をたててきちんと進めていく人は、最終日にバタバタと取り組む友人を見て「なぜ計画的にやらないのだろう」と思ったのではないでしょうか。

逆に最終日に集中的にやる人は、「せっかくの休みなのに、なんで窮屈に計画を決めてしまうんだろう」と相手のことを思っているかもしれません。

つまり行動の仕方は俯瞰して見ると「変数」なのです。自分にとっては「固定」しているように見えますが、それぞれの人ごとに異なります。

同じ場面でも、Aさんはこのように行動した。Bさんは違う行動をとった、という違いは十分起こり得るわけです。

マネジャーの一挙手一投足にメンバーは反応

マネジャーの行動も、周囲にとっては「変数」です。似た個性の人なら違和感なく捉えられることが、違う個性の人にとっては「何でこういう指示をしてくるんだろう」と疑問にうつりがちです。

本人は伝えたつもりでも、個性の違う相手にとっては違って受け止められることがあります。たとえば「早く」という言葉は「今すぐ」と捉える人もいれば、「予定より優先度をあげる」と捉える人もいます。これは言葉を脳のなかで個性に応じて変換しているからです。

「メンバーに言っていることが伝わらない」という理由の1つがこうしたすれ違いであるならば、「何日までに」と誤解のない伝え方をしたり、「いつまでにできるか」と認識をすりあわせるやり取りをはさんだりすることが1つの解消方法です。

そのうえで、自身の行動が人にどう映るのかを自覚することも重要です。本人は確認しているつもりでも、相手には詰問されているように映る場合もあります。また、本人は明確に指示をしているつもりでも、相手にははっきりしないように見える場合もあります。

マネジャー本人と部下の個性(ex.FFSデータ)を見比べてみたときに、ギャップの大きい個性ほどそのずれが起こりやすくなります。部下からしてみると、マネジャーにあわせないといけないと思いがちですが、そもそも違う個性の人にとっては、そのこと自体がストレスにもなり得ます。

ストレス状態を手掛かりに環境づくりを進める

マネジメントでめざしたいことは、メンバーが自ら意欲的に動く状況です。そのときの手掛かりの1つが、ストレスの状況です。メンバー1人ひとりにとってストレスが過度あるいは過少にならないようにすることも環境づくりの一種です。

ストレスが適正であれば個性がポジティブに発揮されますが、過度や過少であるとネガティブに発揮されてしまいます。個性がネガティブに発揮されると、本来強みとして活かせる行動が周囲にとっての阻害要因に変わってしまいます。

逆に、ストレスが過度や過少な状況を改善していく際には、個性が発揮できていない環境になっていないか、どうやったらそれを改善できるか、と考えることがアプローチの手掛かりになります。

FFSは

  • 自身の個性を知ることができる
  • 他の人の個性を知ったり、自身と他の人とのギャップを認識することができる
  • 自身やメンバーのストレスを把握することができる
  • ストレスへの影響要因を個性の面から把握して打ち手を考えていくことができる

といったことに有効です。個性やストレスを可視化して把握することで、「何となくうまくいかない」「どうも伝わっていない」という思いをそのままにせず、対応方法を見出していきやすくなります。ぜひ、マネジメントのお悩みへの活用もご検討ください。