50人未満の企業も他人事じゃない!ストレスマネジメントが組織にもたらす10のメリット


「うちの会社は規模が小さいから、ストレスチェック義務化はまだ関係ない」

そう思っている経営者・人事担当者のかたがたも多いと思います。2024年時点では、ストレスチェック義務化の対象は従業員50人以上の事業場ですが、今後は小規模企業にも拡大されることが決まっています。つまり、全ての企業がストレスマネジメントに取り組む必要があるのです。

「でも、うちは人数が少ないから、そこまで深刻な問題は起きていないはず…」

そう思われるかもしれません。しかし規模が小さいからこそ、一人ひとりの従業員のストレスが組織全体に与える影響は大きいのです。

そこで今回は、ストレスマネジメントが小中規模企業にもたらす10個のメリットについて、具体的な事例を交えながら解説します。特に、過重労働対策対人関係におけるネガティブバイアスの排除といった、従来の意識を大きく変える必要性、そして経営者・マネジメント層の変革の重要性に焦点を当てていきます。

1. 離職率の低下:優秀な人材の流出を防ぐ

小中規模企業にとって、優秀な人材の流出は大きな痛手です。採用コストや教育コストが無駄になるだけでなく、組織全体の生産性低下にもつながります。ストレスマネジメントに取り組むことで、従業員のエンゲージメントが高まり、離職率を低下させることができます。

事例:IT系企業によくある取り組み

残業時間が長く、休日も満足に取れない状況が続いていたIT企業。若手社員を中心に離職者が相次ぎました。離職率は30%を超えています。ストレスチェックを実施し、長時間労働の是正やフレックスタイム制度の導入をはじめ、上意下達的な指揮命令系統の修正など、全社をあげて職場環境の改善に取り組みました。その結果、従業員の満足度が向上し、離職率が10%に低下しました。

2. ハラスメント防止:ネガティブバイアスを排除し、健全なコミュニケーション

ハラスメントは、被害者の心身に深刻なダメージを与えるだけでなく、組織全体の雰囲気を悪化させ、生産性を低下させる要因となります。こころの問題=脳への深刻なダメージということが昨今ようやく理解されつつあります。

ストレスマネジメントに取り組むことで、ハラスメントが発生しにくい風通しの良い職場づくりを促進することができます。特に、対人関係におけるネガティブバイアス(偏見や先入観)を排除し、健全なコミュニケーションを促進することが重要です。

事例:飲食店によくある光景

従業員同士のコミュニケーション不足から、陰口や嫌がらせが横行していた飲食店。従業員のストレスが高まり、離職者が増加し、アルバイトスタッフもいっこうに定着しません。そこで、定期的なミーティングの実施や相談窓口の設置に加え、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に関する研修を実施するなど、コミュニケーションの活性化とハラスメント防止に取り組みました。

その結果、従業員同士の信頼関係が深まり、安心して働ける職場環境が実現しました。

3. 生産性の向上:過重労働の見直し

過剰なストレスは、集中力や判断力を低下させ、生産性を阻害する要因となります。

ストレスマネジメントに取り組むことで、従業員が心身ともに健康な状態で働くことができ、パフォーマンスを最大限に発揮することができます。特に、過重労働の見直しは不可欠です。

事例:デザイン会社によくある光景

納期前のプレッシャーやクライアントからの厳しい要求など、ストレス要因が多いデザイン会社では、従業員の疲労が蓄積し、ミスが増加していました。過重労働は思考力の低下を招き、集中力も散漫になることがわかってきています。

そこで、タスク管理の見直しによる納期の適正な管理やリフレッシュ休暇の導入に加え、業務の効率化やアウトソーシングの活用など、過重労働の見直しをおこないました。その結果、従業員の集中力が高まり、生産性が向上しました。

4. 経営者・マネジメント層の意識改革

ストレスが軽減されると、従業員は仕事への意欲を取り戻し、組織への貢献意欲を高めることができます。

ストレスマネジメントに取り組むことで、従業員が主体的に業務に取り組むようになり、組織全体の活性化につながります。しかし、そのためには経営者・マネジメント層が率先して意識改革を行う必要があります。

事例:ある小売店によくある光景

人員不足による業務過多や顧客からのクレーム対応など、ストレス要因が多い小売店では、従業員のモチベーションが低下し、接客態度も悪化していました。そこで、業務分担の見直しや研修制度の充実に加え、経営者・マネジメント層が従業員の意見に耳を傾け、積極的にフィードバックを行うようにしました。また評価・賃金制度も大きく見直しました。その結果、従業員のモチベーションが向上し、顧客満足度も向上しました。

5. 優秀な人材に集まってもらうために

広告出稿や人材紹介会社に依頼すれば採用できた。という時代はすでに過去のものです。従業員の健康に配慮し、働きやすい職場環境を提供している企業は、社会的な評価が高まります。

ストレスマネジメントに取り組み、きちんとPRしていくことで、求職者からの人気が高まり、優秀な人材が集まりやすくなります。

事例:あるスタートアップ企業の場合

社員のワークライフバランスを重視し、リモートワークやフレックスタイム制度を積極的に導入しているスタートアップ企業は、求職者から「働きやすい企業」として注目を集めやすくなります。制度を導入することで「柔軟性のある企業」とのイメージがつきます。その結果、優秀なエンジニアやデザイナーなど、多様な人材が集まり、企業の成長を加速させています。

6. コミュニケーションの活性化

ストレスは、従業員同士のコミュニケーションを阻害し、孤立感を深める要因となります。

ストレスマネジメントに取り組むことで、従業員同士が気軽に意見交換できる風通しの良い組織づくりを促進することができます。

事例:広告代理店によくある光景

部署間の連携不足や情報共有の遅れなど、コミュニケーションに関する課題が多かった広告代理店では、従業員間の不信感が高まっていました。そこで、定期的な交流会の開催や社内SNSの導入など、コミュニケーション活性化のための取り組みをおこないました。その結果、部署間の連携がスムーズになり、新しいアイデアも生まれやすくなりました。

7. 創造性を発揮できる環境づくり

ストレスが少ない環境では、従業員は創造性を発揮しやすくなります。

ストレスマネジメントに取り組むことで、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすい組織文化を醸成することができます。

事例:研究開発型企業にある光景

研究開発に行き詰まり、焦りや不安を感じていた研究員たちが多かった研究開発型企業。ストレスマネジメントの一環として、リラックスできる休憩スペースの設置やメンター制度の導入などを行いました。メンターとの対話で研究員たちは、リフレッシュしながら創造性を発揮できるようになり、画期的な新製品の開発に成功しました。

8. 従業員の健康増進:心身ともに健康な組織へ

ストレスは、心身の健康を害する様々なリスクを高めます。

ストレスマネジメントに取り組むことで、従業員の健康状態が改善し、医療費の削減や休職者の減少につながります。

事例:製造業によくある光景

交代制勤務や重労働など、従業員の体に負担がかかる業務が多かった製造業。マネジメントが気づかないうちに従業員の健康状態が悪化し、医療費が増加していました。そこで、作業環境の改善や健康診断の実施など、従業員の健康増進のための取り組み、姿勢矯正プログラムの導入をおこないました。その結果、従業員の健康状態が改善し、医療費も削減できました。

9. 企業の社会的責任(CSR)の向上

従業員の健康や働きがいを重視する企業は、社会的な評価が高まります。

ストレスマネジメントに取り組むことは、企業の社会的責任(CSR)を果たす上で重要な取り組みとなります。

10. 法令遵守:リスクマネジメントの徹底

ストレスチェック義務化は、企業にとって法令遵守の重要な課題です。

ストレスマネジメントに取り組むことは、法令違反による罰則や訴訟などのリスクを回避することにつながります。

事例:建設会社にみられる光景

長時間労働や安全対策の不備など、法令違反のリスクが高かった建設会社では、ストレスマネジメントの一環として、労働時間管理の徹底や安全教育の実施などをおこないました。その結果、法令違反のリスクを回避し、安心して事業を継続できるようになりました。

ストレスマネジメントは、経営者・マネジメント層の変革が不可欠

ストレスマネジメントは、従業員の心身の健康を守るだけでなく、組織の成長と発展にもつながる重要な取り組みです。

小中規模企業の経営者・人事担当者の皆様、ぜひこの機会にストレスマネジメントの重要性を再認識し、組織全体で取り組んでいきましょう。特に、過重労働対策対人関係におけるネガティブバイアスの排除といった、従来の意識を大きく変える必要があることを認識してください。そして、経営者・マネジメント層が率先して意識改革を行い、従業員が安心して働ける職場環境づくりを目指しましょう。

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