ストレス要因を知ると、ストレスへのセルフケアができる


「今まではそんなことなかったのに最近は……」ということが気になることありませんか。それ、もしかしてストレスが影響しているかも知れません。過度なストレスがかかると、せっかくのその人の個性はマイナスの方向に働いてしまいます。人それぞれ、ストレスの要因は異なります。個性ごとのストレス傾向を知っておき、早めのストレス対策を試みてください。

ストレス要因は、人それぞれで異なるもの

同じ状況に直面しても、ストレスを感じるかどうかは人によって異なります。自分自身がどういう状態でストレスを感じるタイプなのか、把握しているでしょうか。

FFS理論によって自身の特性を把握できると、どのような場面でストレスを感じるかの自己理解が進みます。たとえば凝縮性因子が高い人にとっては、頭ごなしに否定されること大きなストレスを感じます。自身の価値観を明確に持って行動したい人なので、価値観そのものが否定されてしまうことは大きなインパクトなのです。

一方、受容性因子が高い人には、いったん言われたことを受け止める特性を持ち合わせています。もちろん、頭ごなしの否定は誰にとっても心地よいものではありませんが、凝縮性が高い人に比べるとストレスの感じ方が異なってきます。

自分ではそんなつもりがないのに、ストレスを人に与えてしまう可能性についても考えておきましょう。たとえば保全性が高い人は、着々と計画通りに進めることを好みます。明確な指針がない、急な変更が起こるといったことは、ストレスの要因となってきます。しかし、拡散性が高い人は、新しいことや創造的なことを好み、決めたことに縛られること、自由に動けないことがストレスの要因です。

保全性の高い人が上司となると、最初に決めたことを着々と進めることを求めがちです。しかしそれが行き過ぎると、拡散性の高い部下にとってはストレスになることがあります。上司からすると、「急に新しい案件が入ったからといって、前の計画を変えられたら困るよ」。

しかし部下からすると「計画は社内の話なんだから、いくらでも調整できるはず」と、そもそも上司の発言そのものに納得できないことがでてきます。こうしたギャップは、ストレスの要因です。

言動の変化は、高ストレスのアラート

「もういい、そんなに制約があるなら新しいことなんかできない」というキレ気味の発言。先ほどの保全性上司の発言を受けて、拡散性部下はこんなことを言い放つかもしれません。本来はちゃんとチームの一員として積極的に活動できる人なのに、ストレスが高まりすぎるとそれが、衝動性や破壊性のかたちで発揮されてしまいます。

FFS理論では、同じ因子がポジティブにもネガティブにも発揮されることが実証されています。左右するのはストレスです。ストレスが高いときに個性はネガティブな行動として発揮されます。逆に、ネガティブな行動が見られたら、それは高ストレス状態のアラートともいえます。そうした変化に気づくのも、マネジャーに求められます。

  • これまで何でも寛容に受け入れていたのに、最近は自虐的発言をしながら無理に対応している
  • これまでは自発的にロジック整理しながら会議に参加してくれたのに、最近は何でも機械的に対応しようとする
  • これまでは最適な方法を考えながら仕組み化を進めてくれたのに、最近は「言われたようにやります」という姿勢が強くなっている

といった事象が見えたら要注意です。当人の個性が生かせていない状況に陥っていないか、あるいは、自分や周囲とのコミュニケーションが当人のストレスになっていないか、観察してみましょう。場合によったら上司だけで解決しようとせず、ストレス診断結果なども確認しながら人事などに面談をしてもらうことも考えられます。1 on 1はこうした場として活用したいものです。

自身のストレス要因を知り、セルフケアをおこないましょう

一方、自分自身でセルフケアできるところもあります。

まずは自分自身のストレッサーが何なのか、因子の特性から理解します。(ストレッサーとは、ストレス反応を導く内因性・外因性の情報や刺激のことです)

  • 「そもそも自分は、急な予定変更にはストレスを感じるたちだ」
  • 「あいまいな言い方をされるとイライラしてくる」
  • 「せっかくがんばってもねぎらいがないと、がっかりする」

など、これまでの経験から思い出されることがあるでしょう。そこには因子の特性が表れていますので、FFSの結果とあわせて思い出してみてください。

個性と反する状況でストレスを感じるのは当然です。ただし、そこで一回思考をめぐらせることで、自分の状況を客観的に見られるようにできます。因子ごとに見ていきましょう。ご自身の第1・第2因子で確認すると良いですよ。

因子客観視するには
A:凝縮性一度、自分のこだわりが偏っているかどうかを考える
B:受容性仕事以外の場面も含めて、人の役に立っている場面を思い起こす
C:弁別性正論だけでは事が進まないこともあるということを、イメージする
D:拡散性目の前のこと以外にもチャレンジできる機会があるのではないかと考える
E:保全性先が見えなくて不安に思うことがあれば、率直に口に出してみる

日記のように、文字で書き出してみることもお勧めします。書くことは脳を活性化し、記憶力や学習力を高めると言われています。ストレスを感じる場面に遭遇したら、何とか気持ちを落ちつけて思考をこうした観点に向けてみてください。気持ちが変わると、外側も変わります。心の持ちよう、というと心理学の話しになりますが、ストレス対応は生理学・脳神経科学の話です。

一つ一つのストレッサーは大したことがない、或いは些細なことでも、日々積み重なって連動しはじめると、一気に心理的なストレス負荷があがりストレスホルモンの分泌バランスが変化していきます。

個性因子に応じたストレスケアをぜひルーティン化してみてはいかがでしょうか。