FFS理論をつかったストレス対策で「レジリエンス」を引き出す方法


ストレスへの対策、セルフコントロールはどうされていますでしょうか。過度なストレスはメンタル不調を引き起こしかねませんが、同じようなストレス環境下でも、柔軟にかわしていける人と、ダメージを受けてしまう人がいます。

ここで知っておきたいのは、ストレスに対する個人の心理的な適応力(レジリエンス)です。メンバーが本来持つレジリエンスを引き起こすのがマネジャーの役割。成長する組織づくりのために、レジリエンスへの働きかけという観点をご紹介します。

仕事で突き当たる壁は人それぞれ

マネジャーの役割は、組織を通じてめざす成果を達成していくこと。そのために、戦略も必要ですし、メンバーの成長も必要です。通常、前年と同じことをやっていても、めざす成果は達成できません。メンバー1人ひとりが背伸びした目標に取り組むことになります。

一方、新しいチャレンジは壁にもぶつかります。たとえば営業業務の場合、既存顧客には訪問しやすいものですが、新規アポイントには心理的なハードルもあがります。受注獲得に向けて、先方のニーズとの渉外も大変なことでしょう。自分の思い通りにいかないことも多くでてきます。

  • 「アポイントがまったくとれない」
  • 「プレゼンにダメ出しされた」

といったことで落ち込む人も出てきます。

組織マネジメントでまず注意したいのは、こうしたダメージを自らコントロールできる人と、そのまま気持ちが落ちてしまう人がいるという点です。更に、ダメージの感じ方が人それぞれ違うという点も知っておく必要があります。「アポイントが断られた」こと自体で落ち込む人もいれば、「よし、次にいこう」と全く意に介さない人もいるのです。

ストレス状況をコントロールできるかどうか

ダメージを受けても、それを押し戻す。あるいは自分なりに受け止めて適応する力を「レジリエンス」と言います。

「困難で脅威的な状況にもかかわらず、うまく適応する能力・過程・結果」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/59/4/59_397/_pdf

といった言葉で定義されます。ダメージは、ストレスを引き起こします。外圧によって自身の通常の状態に「ゆがみ」が起きている状態です。ストレスが何でも悪いわけではなく、常に一定のストレスには皆さらされています。

ただし、過度になったときが問題です。

「ゆがみ」が続くわけですので、心身の不調も起こりがちです。そのときにレジリエンスがはたらくと、ストレスまで至らずに外圧を処理できたり、落ち込み状態から自らの力で回復することができたりします。 レジリエンスをはたらかせられる人は、自ら状況をコントロールし、次のアクションを起こすことができます。

主体性が発揮しやすくなるのです。自律的な組織づくりをめざすならば、メンバーのレジリエンスをひきだす工夫を考えたいところです。

レジリエンスを高める働きかけが重要

ワークスエンターテイメントでは、ストレスが過度で不適正な状態にある人(ディストレス状態)が、適正な状態(ユーストレス状態)に変わっていく過程をレジリエンスと定義しています。そして、適切な知識とスキルがあれば、誰でもレジリエンスを高める働きかけができるという前提にたち、FFS理論を活用したマネジャー向けのプログラムを開催しています。

レジリエンスについてはまだ多様な研究が進行中ですが、基本的に理解しておくべきことは

  1. 人はどのようなときにストレスを感じるのか。
  2. 何がそのストレスを緩和するポイントなのか。

という点です。メンバー個々への働きかけかた、状態把握の仕方などは、マネジメントの基礎知識・スキルとして身に着けていくことができます。悪い知らせでも、あらかじめ予測していると、「やっぱりそうだったか」と受け止めますが、予測をしていないと「まさか、そんなことが」と驚きが先に立つことでしょう。

これと同様に自分が何にストレスを感じるか、をあらかじめ知っていると「今、ストレスが高まる状況にある。次にどうしようか」と冷静に判断していくことができますが、知らないと「どうもすっきりしない」「何となく調子が悪い」という状況を放置することになってしまいます。

この「あらかじめ知っている」「ストレス状態をポジティブに転換する手掛かりがわかる」状態をメンバーに対してつくってあげることが、レジリエンス向上の一手です。

イキイキした組織づくりに向けて

FFS理論では次のような順でレジリエンスに関わる基礎知識・スキルを学んでいくことができます。

  • 人の個性の違いと、それぞれの個性が何にストレスを感じるかを知る

FFS理論では5因子の組み合わせで人の個性を表しますが、個性ごとにストレスを感じるポイントが異なります。まずは個性について理解を深めます。

  • ストレスについての基礎理解を深め、ストレス状態の違いを知る

非適正なストレス状態の問題を理解し、個性ごとのストレスへの対応観点を把握します。

  • 部下やメンバーへの対応スキルをつける

FFS理論を使った他者への働きかけについて、実際に体感しながら習得していきます。

メンバーのレジリエンスを高め、1人ひとりが主体的に行動できる組織をつくれると、マネジメントが「楽になる」はずです。メンバー1人ひとりの力が発揮されれば、組織のイキイキ度が増し、成果は高まっていきます。ぜひマネジメントの一手としてレジリエンスの引き出しを考えてみてください。